何事もそうだが覚悟をしているときに起こることはたいした被害はない。
予期しないときに起こることは同じようなことでも受けるショックは大きい。
週末に有料セミナーを受けたがこれがひどい内容のセミナーだった。「
カタログの科学的製作方法」=ビジュアルはアートではなく科学である!というなんとももったいぶったタイトルのセミナーである。
科学的製作方法、ビジュアルは科学であるという言葉に引っかかり、「そんなすごい理論があるのか」と思ってセミナーの前日に申し込んだ。
講師が通販関係の仕事をしていたという紹介記事があったので一抹の不安があった。
五月雨とはいえない横殴りの雨が降る中セミナー会場に向かった。
会場に入った途端タバコの強烈なにおいがして、いやだなとかんじた。
定刻に講師が入ってきてセミナーが始まった。驚いたことに自己紹介もなく、
「ビジュアルはアートではなく科学!」とホワイトボードに書き付けた。
長身で髪の毛を肩まで伸ばした歯が黄色い狐目の講師は狡猾そうな目をしながら「費用対効果」でビジュアルは作らなければならない、「ビジュアルはアートではないんだ印刷会社のデザイナーはアートだと勘違いして困るんだよね」と高圧的に言い放った。
この講師のレジメはなんとパワーポイントで作ってあるではないか。パワーポイントがいけないといってるのではなくそのレジメの程度の低くさにおどろく。
コンピュータのイラストが入っているがこれがワープロのイラストでそれもどこかの著作権フリーだ。
カタログやパンフレットの製作をしている社員は少なくともデザイン学校なり美術系の大学でデザインの基礎、ビジュアルの基礎は学び、入社試験を受けて入社しているわけで、講師がいうところの科学的ということは基礎の基礎である。
この講師の講演のテーマである「ビジュアルはアートではなく科学!」はまず、ビジュアル、アート、科学という言葉の意味がこの講師にはわかっていない。
だれもビジュアルはアートであるとはいっていない、しかもアートが科学であるなどということは聞いたことが無い。おまけに「ビジュアルは科学的に検証された体系立てられた方法論が確立されている」と言い放つ。ビジュアル・コントロール・シート、ホットスポット、シンメトリカル、アシメトリカル、アイフローがその方法論だという。
この程度のことはデザイン学校に行かなくても知っていることであり、しかもこれらの理論は使い古された理論である。
聞くに堪えないセミナーに途中で逃げ出した。
コミュニケーション技術、情報技術を学び、顧客に最高レベルの宣伝・広告を提供することを自己のミッションとして日々切磋琢磨している人びとにたいする侮辱を感じる。
このような講師がいることについて怒りすらおぼえる。
季節はずれの台風が予想外の被害をもたらすように、若いデザイナーの心に被害をもたらさないように祈るばかりである。
広告はマーケティングであり、コミュニケーションである。
この広告なくして現代社会は成り立たないということを忘れてはいけない。
広告ビジネスは重要な仕事なのだ。
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